「うちの窓は網入りガラスだから、割られにくいはず」

「古い窓のクレセント(鍵)がゆるくなってきたけれど、閉めておけば大丈夫だろう」

窓の交換のご相談で、こうしたお話をよく伺います。先に結論をお伝えすると、網入りガラスは火事の広がりを防ぐためのガラスで、防犯のためのガラスではありません。クレセントも、窓をぴったり閉じておくための金具で、それだけで空き巣を防げるものではありません。

このページでは、窓と玄関ドアの交換を専門に扱うマドアーズ!編集部が、警察庁やメーカーの公表している情報をもとに、古い窓の「網入りガラス」と「クレセント」の防犯上の実力と、窓ごと新しくするときに防犯の面で何を見て選べばよいかを整理します。

結論|網入りガラスもクレセントも「防犯の道具」ではない

まず、よくある思い込みと実際を表にまとめます。

よくある思い込み 実際
網入りガラスは割られにくい 火災のときにガラスが落ちないようにするためのもの。防犯性能はふつうの板ガラスと同じく期待できない(警察庁)
強化ガラスなら安心 風圧などに強いガラスで、防犯を目的としたガラスではない(警察庁)
クレセントを閉めれば十分 ガラスを割られて手を入れられると開けられてしまう。補助錠を足して2か所で鍵をかけることが勧められている(LIXIL)
フィルムを鍵のまわりに貼れば安心 部分貼りでは穴が開きやすい。防犯フィルムはガラス全面に貼ることが条件(警察庁)

窓の防犯で大事なのは、「割られにくいガラス」と「開けられにくい鍵」の両方で、侵入に時間がかかるようにすることです。

網入りガラスは防火のためのガラス

網入りガラスは、ガラスの中に金網を入れたものです。ガラスメーカーのAGCは、火事の熱でひびが入っても金網のおかげで板の形を保ち、破片が落ちるのを一定の時間防いで、火が燃え広がるのを防ぐはたらきがあると説明しています。住宅が密集した地域では、法律で火に強い窓(防火設備)が求められることがあり、その窓に網入りガラスが使われてきました。

一方、防犯の面について、警察庁の「住まいる防犯110番」は、網入りガラスは火災時の延焼を防ぐために金網を入れたガラスで、防犯性能はフロート板ガラス(ふつうの板ガラス)と同様に期待できない、とはっきり書いています。金網が入っていても、割られてしまえば手を入れて鍵を開けられるおそれがあります。

なお、防火の決まりがある地域では、窓を交換するときも防火の性能を持った窓を選ぶ必要がある場合があります。網入りガラスを外せば防犯になる、という単純な話ではない点にご注意ください。

交換前の古い小窓。網入りガラスが入っている

クレセント(鍵)の役割と、古い窓で起きやすいこと

クレセントは、引き違い窓の真ん中にある、半月の形をした回す金具です。2枚の窓を引き寄せて閉じ、窓が動かないようにする役目があります。ただ、ガラスを割られてそこから手を入れられると、内側から回して開けられてしまいます。

LIXILは、クレセントのかかりが悪いと簡単に開けられてしまうため、定期的に確かめて調整し、直らなければ交換を考えるよう案内しています。長く使った窓では、枠のゆがみや戸車(窓の下についている車輪)のすり減りで窓がきちんと閉まらず、クレセントがかかりにくくなることもあります。鍵の問題に見えて、実は窓そのものの傷みが原因ということもあるのです。

窓からの侵入は「ガラス破り」が多い

警察庁は、一戸建てと3階建て以下の共同住宅への侵入窃盗では、ほかの侵入手段に比べてガラス破りによるものが非常に多いとしています。YKK APも、ガラス破りには、たたいて割る「打ち破り」、ドライバーなどを差し込んで割る「こじ破り」、熱して急に冷やして割る「焼き破り」があると紹介しています。

つまり、窓の防犯では、鍵をかけることに加えて、ガラスを割られにくくすること、割られても手が入る穴が開きにくくすることが大切です。

防犯の目安になる「CP部品」とCPマーク

窓やドアの防犯性能を選ぶときの目安が「CP部品」です。警察庁・国土交通省・経済産業省と、建物部品の業界団体でつくる官民合同会議が、侵入までに5分以上かかるなど一定の防犯性能があると評価した部品を「防犯性能の高い建物部品目録」にのせて公表しています。CPはCrime Prevention(防犯)の頭文字で、目録にのった部品にはCPマークを付けることができます。

目録には、サッシ、ガラス、ウィンドウフィルム、雨戸、面格子、窓シャッター、錠など17種類の部品があります(令和8年3月末現在)。ただし警察庁は、目録にのった部品でもあらゆる状況で5分以上侵入を防げるわけではないこと、決められた施工条件どおりに取り付けたときに本来の性能が出ることも注意として示しています。正しく取り付けることまで含めて、防犯性能だと考えてください。

防犯ガラス(合わせガラス)とは|見分け方も

警察庁によると、防犯ガラスは2枚以上のガラスの間にやわらかく強い中間膜をはさんで貼り合わせたガラスです。破片が飛び散りにくく、たたいても貫通しにくいため、打ち破りの試験で7回たたいても、人が入れる大きさの穴が開かないとされています。

YKK APは、自社の防犯性のある合わせ複層ガラスは、ガラスの室内側の右下にある「CP」のマークやラベルで見分けられると案内しています。すでに窓を替えたお家でも、ガラスの隅を見ると確かめられます。

窓ごと替えるときの防犯の選び方

古い窓をカバー工法で新しい窓に替えるときは、断熱だけでなく防犯の面でも選べます。次の点を目安にしてください。

  • 鍵が2か所あるか:LIXILは、取替窓「リプラス」はクレセントとサブロックの2ロックで、侵入に時間をかけさせることができると案内しています
  • ガラスを防犯合わせガラスにできるか:メーカー各社がカバー工法の窓でも防犯合わせガラスを用意しています。YKK APのカタログにも「かんたんマドリモ 防犯合わせガラス」があります
  • CPマークのある部品か:ガラスや窓がCP部品かどうかは、製品やカタログで確かめられます
  • 雨戸やシャッターをどうするか:雨戸やシャッターは、閉めておけばガラスを割られにくくなります。今の雨戸を活かすか、新しくするかも一緒に考えます
  • 防火の決まりがある場所か:防火の性能が必要な窓では、使える製品やガラスが限られます

窓の製品ごとの違いはマドリモのページやリプラスのページ、メーカーの比べ方はメーカー製品の選び方にまとめています。

カバー工法で交換した後の小窓。新しい枠と型ガラス

浴室やトイレの小さな窓こそ気をつけたい

LIXILは、トイレや浴室の窓は人目につきにくい場所にあることが多く、狙われやすい傾向があると注意しています。小さな窓だからと後回しにされがちですが、ガラスのルーバー窓(細いガラス板が何枚も並んだ窓)のように、構造上すき間ができやすい窓もあります。

カバー工法では、ルーバー窓をすべり出し窓(外へ押し出して開ける窓)に変えるなど、窓の種類を変えられる製品もあります。窓の種類を変えると、開け閉めのしかたや鍵の形も変わります。浴室の窓の交換例は施工写真集でご覧いただけます。

窓を替えずにできる対策と、替えたほうがよい場合

窓を替えなくてもできる対策もあります。LIXILは、市販の補助錠を付ける、防犯アラームを付ける、長く家を空けるときや夜は雨戸やシャッターを閉める、といった方法を紹介しています。防犯フィルムを貼る場合は、警察庁がガラス全面に貼ることを条件にしており、水抜きなどの施工が不十分だと性能が出ないため、専門の業者に頼む必要があるとしています。

一方、次のような場合は、窓ごと替えることを考えてもよい時期です。

  • クレセントを調整しても、窓がきちんと閉まらない
  • 窓の開け閉めが重い、がたつく
  • すき間風が入る、冬の寒さや結露も気になっている
  • ガラスを替えたいが、今の枠では防犯合わせガラスが入らない

窓を替えると、防犯と一緒に断熱や開け閉めの悩みもまとめて見直せます。断熱の面は窓の断熱のページ、カバー工法そのものはカバー工法とは?で説明しています。

マンションの一室で新しい窓枠を取り付けている職人

マンションの窓は管理組合への確認から

マンションの場合、国土交通省の「マンション標準管理規約」では、窓枠と窓ガラスは各住戸の専有部分に含まれないとされています。そのため窓の交換やガラスの交換には、管理組合の承認が必要になるのが一般的です。当店では、窓の交換に必要な管理組合への申請書類を用意します。

玄関ドアの防犯については、玄関ドアの防犯のページで別にまとめています。

よくある質問

網入りガラスを防犯ガラスに替えるだけでもよいですか?

ガラスだけを替える方法もあります。ただし、今の枠に入るガラスの厚みには限りがあり、防火の決まりがある窓では使えるガラスも限られます。枠が傷んでいる場合は、窓ごと替えたほうがよいこともあります。現地で窓を見てからご提案します。

カバー工法にすると、窓はどのくらい小さくなりますか?

古い枠の内側に新しい枠を重ねるため、枠の厚みの分だけガラスの見える部分が少し小さくなります。どのくらいになるかは窓の形や製品で変わるため、現地調査のときにご説明します。

防犯のために替えた窓も補助金の対象になりますか?

国の補助金は、主に断熱性能を良くする窓の改修が対象です。防犯合わせガラスを選んでも、断熱の条件を満たすかどうかで対象が決まります。最新の情報は補助金のページをご覧ください。

まとめ|「割られにくいガラス」と「2つの鍵」で選ぶ

網入りガラスは防火のためのガラスで、防犯性能はふつうの板ガラスと同じく期待できません。クレセントは窓を閉じておく金具で、ガラスを割られれば開けられてしまいます。窓の防犯を考えるなら、防犯合わせガラス、クレセントと補助錠の2ロック、CPマークを目安に選ぶのが基本です。

古い窓を窓ごと新しくすれば、防犯と断熱、開け閉めの悩みをまとめて見直せます。ご依頼から工事までの段取りはご依頼の流れにまとめています。お家の窓にどんな対策が合うか分からないときは、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。

(参考)警察庁「住まいる防犯110番」(官民合同会議・防犯性能の高い建物部品目録・ガラスの防犯性能)/AGC「窓ガラスの防火」/LIXIL「大きい窓の防犯対策」「小さい窓(装飾窓)の防犯対策」/YKK AP「窓が危ない!?ガラス破りの実態とリフォームでできる防犯対策」、よくあるお問い合せ「防犯性のある合わせ複層ガラスかどうか」/国土交通省「マンション標準管理規約」

文:マドアーズ!編集部