「夕方になると西日が差し込んで、部屋がむっと暑くなる」

「冷房を強くしても、窓ぎわだけ暑さが引かない」

夏の暑さの悩みも、冬の寒さと同じく窓が大きく関わっています。ただし、夏の暑さ対策では、冬の寒さ対策とは少しちがう考え方が必要です。ポイントは、窓から入ってくる「日差しの熱」をどうさえぎるかです。

このページでは、窓と玄関ドアの交換を専門に扱うマドアーズ!編集部が、窓の遮熱性能を上げる方法を整理します。Low-Eガラスの「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」のちがい、窓の向きで選ぶ考え方、窓ごと替えるときの注意点を、メーカーの公式情報をもとにご説明します。

結論|西日の窓は「遮熱タイプのLow-Eガラス」と外側の日よけで考える

夏の暑さや西日が気になる窓には、日差しの熱をさえぎる「遮熱タイプ」のLow-E複層ガラスが向いています。さらに、窓の外側ですだれやシェードなどの日よけを組み合わせると、日差しの熱を室内に入れにくくなります。

一方、冬に日差しを採り込みたい南向きの窓などは、「断熱タイプ」を選ぶ考え方もあります。家じゅうの窓を同じガラスにするのではなく、窓の向きによって選び分けるのがコツです。

夏、家に入ってくる熱の多くは窓から

一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会(建産協)が2025年12月に公表した試算では、東京(省エネ基準の6地域)に建つ木造の戸建住宅のモデルで、今の省エネ基準にあたる断熱等性能等級4相当の家(窓はアルミサッシ+複層ガラスを想定)の場合、夏の冷房時に家に入ってくる熱のうち、窓などの開口部からが約64%という結果でした。

冬に家から逃げる熱の割合(同じ条件で約41%)と比べても、夏は窓の占める割合がさらに大きくなっています。これは決まった条件での計算の結果ですが、夏の暑さ対策では窓がとても大事だということがわかります。

カバー工法で交換した後の室内の窓。白い枠の向こうに田んぼが見える

「断熱」と「遮熱」のちがい

窓の性能の話では、「断熱」と「遮熱」という言葉がよく出てきます。似ていますが、意味は少しちがいます。

  • 断熱:室内と屋外の温度差によって伝わる熱を通しにくくすること。冬に暖房の熱を逃がさない、夏に外の暑い空気の熱を伝えにくくする
  • 遮熱:太陽の日差しに含まれる熱(日射熱)をさえぎること。夏の強い日差しや西日の熱を室内に入れにくくする

夏の窓ぎわの暑さは、窓に当たった日差しの熱が室内に入ってくることが大きな原因です。そのため、夏の暑さを抑えたい窓では、断熱に加えて遮熱の性能も大切になります。

Low-E複層ガラスの「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」

Low-E複層ガラスは、2枚のガラスの間に空気やガスの層をはさみ、ガラス面に熱の伝わりを抑える薄い金属の膜(Low-E膜)をコーティングしたガラスです。YKK APは、Low-E膜をコーティングしたガラスが室外側にあるものを「遮熱タイプ」、室内側にあるものを「断熱タイプ」と呼ぶと案内しています。

種類 Low-E膜の位置 向いている窓
遮熱タイプ 室外側のガラス 夏の日差しや西日が強く当たる窓
断熱タイプ 室内側のガラス 冬の暖かさを重視したい窓。日差しを採り込みたい窓

YKK APは遮熱タイプについて、高い断熱性能と日射をさえぎる性能を両立し、西日対策や、紫外線による家具などの色あせ防止に効果的だとしています(紫外線は3ミリ+空気層+3ミリの場合に76%カットと案内)。断熱タイプについては、寒い季節にガラスから熱が逃げるのを抑え、結露の発生も抑えるとしています。

また、YKK APは、日差しの熱が室内に入る割合を表す「日射熱取得率」が0.50以上のものを日射取得型、0.49以下のものを日射遮蔽型と区分けしています。断熱タイプの中にも日射遮蔽型があるため、実際に選ぶときは、タイプの名前だけでなく製品ごとの性能を見て決めます。

窓の向きで選ぶ考え方

LIXILは、新築向けの樹脂窓「EW」の案内の中で、方角ごとのガラスの選び方の例を紹介しています。遮熱性の高い「Low-Eグリーン」と、日差しの熱を採り込みやすい「Low-Eクリア」を使い分ける考え方です。要点は次のとおりです。

窓の向き 考え方(LIXILの案内の要点)
西 夏は横から西日が差し込むため、Low-Eグリーンのガラスに、横からの日差しをさえぎるシェードを組み合わせる
東 朝日を採り込みつつ、夏場の日射熱対策としてLow-Eグリーンのガラス
南 冬に日差しをたっぷり採り込めるLow-Eクリア(高日射取得仕様)を選ぶのがポイント
北 日差しが入りにくいので、冬の寒さ対策や結露の軽減を優先し、断熱効果の高いLow-Eグリーン

製品やメーカーによって、ガラスの名前や色、性能の分け方はちがいます。また、同じ南向きでも、軒やひさしの出方、前に建物があるかどうかで日の当たり方は変わります。実際には、お家の窓ごとの日の当たり方を見て決めるのが確実です。

西日の窓は、ガラスと外の日よけをセットで

西日は夕方の低い角度から横に差し込むため、軒やひさしではさえぎりにくい日差しです。LIXILは、窓の内側のカーテンで日差しをさえぎっても、室内まで入ってきた熱はそのままこもってしまうと案内しています。

そのため、西日の強い窓では、遮熱タイプのガラスに替えることに加えて、窓の外側でさえぎる工夫を組み合わせるのがおすすめです。窓の外にすだれやシェード、外付けのブラインドなどを付けると、日差しの熱がガラスに届く前にさえぎれます。

カバー工法で交換した後のサッシを外側から近くで見たところ。タイル外壁

カバー工法なら、窓ごと遮熱タイプに替えられる

遮熱タイプのLow-E複層ガラスにしたい場合、今の窓がアルミの枠に1枚ガラスの窓だと、ガラスだけを入れ替えられないことがあります。そんなときは、枠ごと新しい窓に替える方法があります。

今ある枠を残して新しい枠をかぶせる「カバー工法」なら、壁を壊さずに、遮熱タイプのLow-E複層ガラスが入った断熱窓へ窓ごと替えられます。YKK APの「マドリモ」では、アルミ樹脂複合窓のLow-E複層ガラスで遮熱タイプと断熱タイプを選べます。枠も熱を伝えにくい素材になるため、夏の暑さだけでなく冬の寒さの悩みもまとめて見直せます。製品の違いはマドリモのページ、工事の考え方はカバー工法とは?のページでご紹介しています。

カバー工法で取り付ける前の新しい窓と部材。ガラスにYKK APのシール

工事は、古い障子(ガラスの入った動く部分)を外し、残した枠の上に新しい枠を取り付け、新しい障子を入れて、外まわりのすき間をふさいで仕上げる流れです。新しい窓は、今の窓の大きさを現地で測ってから用意するため、ご相談から工事までには製品を用意する期間がかかります。暑さが本格的になる前に替えたい場合は、早めにご相談いただくと段取りが組みやすくなります。窓の種類ごとの工事の考え方は窓の1DAYリフォームのページにまとめています。

冬の寒さ対策を中心に考えたい方は、窓の断熱性能UPのページもあわせてご覧ください。

遮熱ガラスを選ぶときの注意点

遮熱タイプは夏に心強いガラスですが、選ぶ前に知っておきたい点もあります。

  • 日差しの熱をさえぎる分、冬の日差しの暖かさも室内に入りにくくなる。冬の日当たりを活かしたい窓では、断熱タイプとどちらが合うか比べたい
  • Low-Eガラスは、種類によって見た目の色味が少しちがう。YKK APは、日射遮蔽型の断熱タイプだけブルーとブロンズから選べると案内している
  • 家の暑さは窓だけでなく、屋根や壁から入る熱、換気でも変わる。窓を替えても、2階や屋根に近い部屋では暑さが残ることがある
  • カバー工法は古い枠に新しい枠を重ねるため、ガラスの見える部分が少し小さくなる

当店では、現地調査のときに、窓の向きや日の当たり方、お悩みの季節をうかがったうえで、ガラスの種類をご提案します。

補助金の対象になることも

断熱性の高い窓への交換は、国の補助金や税の減額の対象になることがあります。ただし、製品の性能や工事の時期、申請の手順などの条件があり、年度によって変わります。選ぶガラスや枠によって対象になるかどうかが変わるため、契約の前に確認することが大切です。最新の情報は補助金のページと先進的窓リノベ2026のページにまとめています。

よくある質問

西日の当たる窓だけ替えてもいいですか?

1窓からでも替えられます。西日の当たる部屋だけ遮熱タイプにし、ほかの窓は断熱タイプにするなど、窓ごとに選び分けることもできます。どの窓から替えるかは、現地調査で窓の向きを見てからご提案します。

遮熱タイプにすると部屋は暗くなりますか?

Low-Eガラスは、種類によって色味や光の通し方が少しちがいます。見え方が気になる場合は、メーカーのカタログやサンプルで色味を確かめてから選ぶと安心です。ほかのご質問はよくあるご質問にもまとめています。

マンションの窓でもできますか?

マンションの窓は、国土交通省の「マンション標準管理規約」で専有部分に含まれないとされ、交換には管理組合の承認が必要になるのが一般的です。管理組合への申請書類は当店で用意します。

まとめ|暑さの悩みは「窓の向き」から考える

夏に家に入ってくる熱の多くは窓からです。西日や夏の日差しが強い窓には、日差しの熱をさえぎる遮熱タイプのLow-E複層ガラスと、窓の外側の日よけの組み合わせが向いています。冬の日差しを採り込みたい窓は断熱タイプを選ぶなど、窓の向きで選び分けるのがポイントです。

カバー工法なら、壁を壊さずに窓ごと替えられます。実際の工事のようすは施工写真集で、ご依頼から工事までの段取りはご依頼の流れでご覧いただけます。どのガラスが合うか迷ったら、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。

(参考)出典の一覧:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会「住宅各部位における熱の出入り割合」(2025年12月)/YKK AP「よくあるお問い合せ:Low-E複層ガラスの種類の違い」「Low-E複層ガラス 日射遮蔽型(遮熱タイプ)」「Low-E複層ガラス 日射遮蔽型/日射取得型(断熱タイプ)」「マドリモ 戸建用」公式ページ/LIXIL「樹脂窓 EW 特長 日射熱取得&抑制」/国土交通省「マンション標準管理規約」

文:マドアーズ!編集部