「古い窓を新しくしたいけれど、壁を壊す大工事になるのでは」

「玄関ドアを替えたいが、何日も家が開けっぱなしになるのは困る」

窓や玄関ドアの交換を考えはじめた方から、よくこうしたご相談をいただきます。実は、窓や玄関ドアを取り替える方法は大きく分けて2つしかありません。今ある枠を残して新しい枠をかぶせる「カバー工法」と、壁を壊して枠ごと取り替える「はつり工法」です。

どちらが良い・悪いではなく、お家の状態によって向き不向きがあります。このページでは、窓と玄関ドアの交換を専門に扱うマドアーズ!編集部が、2つの工法の違いと、それぞれが向いている家・向いていない家を、できるだけ専門用語を使わずに整理します。カバー工法の弱点も正直に書きます。

窓・玄関ドアを交換する方法は大きく2つ

窓や玄関ドアは、壁の中に「枠」が固定され、その枠に「障子(ガラスの入った動く部分)」や「扉」が付いています。古くなって交換したいとき、問題になるのはこの枠をどうするかです。

枠は外壁や室内の壁とつながっているため、取り外そうとすると周りの壁も壊すことになります。そこで考え出されたのが、枠は壁に残したまま、その上に新しい枠をかぶせる方法です。これがカバー工法です。一方、昔からある、壁ごと枠を取り外して新しいものを入れる方法をはつり工法と呼びます。「はつる」は、コンクリートや壁を削ったり壊したりすることを指す建築の言葉です。

なお、今の窓の内側にもう1つ窓を足す「内窓(二重窓)」という方法もありますが、これは窓を取り替える工事ではなく、窓を足す工事です。このページでは、窓や玄関ドアそのものを新しくする2つの工法を取り上げます。

カバー工法とは|今の枠に新しい枠をかぶせる

カバー工法では、古い障子や扉を外し、壁に残った古い枠の上から新しい枠を取り付けます。最後に、新しい枠と古い枠のすき間や外側を、専用の部材でふさいで仕上げます。

窓のカバー工法の製品としては、YKK APの「マドリモ」やLIXILの「リプラス」などがあります。YKK APは、マドリモについて壁を壊さずに住みながら断熱窓へリフォームでき、1窓あたり約半日で完了すると案内しています(YKK AP「マドリモ 戸建用」公式ページ)。玄関ドアでも、YKK APの「ドアリモ」やLIXILの「リシェント」のように、今のドア枠を活かして新しいドアに替える製品が用意されています。

当店が扱っている工事はこのカバー工法です。工事の考え方はカバー工法とは?のページでも、写真を使ってご説明しています。

カバー工法で交換する前の浴室の小窓。古い枠にさびが出ている

はつり工法とは|壁を壊して枠ごと取り替える

はつり工法では、窓や玄関ドアのまわりの外壁と室内の壁を壊し、古い枠ごと取り外します。そこへ新しい枠を取り付け、壊した外壁や内装を元どおりに直して仕上げます。

枠ごと新しくなるので、窓の大きさを大きく変えたり、窓の位置を変えたり、壁の中の傷みを直したりと、自由度が高いのが長所です。その反面、外壁の補修、室内の壁紙や下地の補修、場合によっては足場の設置も必要になります。大工、左官、外壁、内装など複数の職人さんが関わることも多く、カバー工法より日数がかかるのが一般的です。

比べてわかる違い|工期・音・補修・窓の大きさ

2つの工法の主な違いを表にまとめました。金額は、窓の大きさや数、お家の状態によって大きく変わるため、ここでは書いていません。

比べる点 カバー工法 はつり工法
壁を壊すか 壊さない 外壁・室内の壁を壊す
工事の日数 短い(メーカーは1窓約半日と案内) 外壁や内装の補修を含めて長くなりやすい
工事中の音・ほこり 比較的少ない 壁を壊すため多くなりやすい
外壁・内装の補修 基本的に不要 必要
窓の大きさ 枠の厚みの分だけ少し小さくなる 変えずに済む。大きさを変えることもできる
壁の中の傷みの確認 できない 壁を開けるので確認・補修できる

住みながら短い期間で窓やドアを新しくしたい場合はカバー工法、窓の大きさや位置を変えたい場合や、壁の中まで直したい場合ははつり工法、というのが大まかな分け方です。

カバー工法のデメリットも正直に|窓が少し小さくなる

カバー工法は古い枠の内側に新しい枠を重ねるため、ガラスの見える部分が枠の厚みの分だけ小さくなります。出入りに使う掃き出し窓や玄関ドアでは、足元に段差が少し残ることもあります。メーカーも段差を小さくする工夫を進めていますが、ゼロにはなりません。

また、壁を開けないので、壁の中の柱や下地が雨漏りで傷んでいても、それを直すことはできません。窓のまわりの壁紙にしみがある、外壁にひび割れがある、といった場合は、窓の交換の前に雨漏りの原因を確かめることをおすすめします。

当店では、現地調査のときに、仕上がりで窓がどのくらい小さくなるか、段差がどのくらい残るかをご説明してから工事を決めていただきます。ご依頼から工事までの段取りはご依頼の流れにまとめています。

カバー工法が向いている家

次のようなお家は、カバー工法が向いています。

  • 窓の大きさや位置は今のままでよく、窓やドアの性能と使い勝手を良くしたい
  • 外壁を塗り替えたばかりで、外壁を壊したくない
  • 住みながら、できるだけ短い期間で工事を終えたい
  • 窓の開け閉めが重い、すき間風が入る、鍵がかかりにくいなど、窓やドアそのものの不具合が気になっている
  • 古いアルミの窓を、断熱性の高い窓に替えたい

窓の種類ごとの選び方は窓の1DAYリフォームのページ、製品の違いはマドリモのページをご覧ください。

カバー工法で浴室の小窓を交換した後。新しい枠と型ガラスの窓

はつり工法を考えたほうがよい家

一方で、次のような場合は、はつり工法やほかの方法も含めて考えたほうがよいことがあります。

  • 窓を大きくしたい、窓の位置を変えたい、窓を減らしたい
  • 窓のまわりから雨漏りしていて、壁の中の傷みを直す必要がある
  • 古い枠が大きくゆがんでいて、新しい枠をかぶせてもきちんと納まらない
  • 外壁の張り替えなど大がかりな工事と一緒に進める予定がある

当店はカバー工法の専門店です。現地調査でカバー工法が向いていないお家だと判断した場合は、無理にカバー工法をおすすめせず、その理由を正直にお伝えします。

マンションの窓と玄関ドアは、まず管理組合に確認を

マンションの場合は、工法を選ぶ前に確認しておきたいことがあります。国土交通省の「マンション標準管理規約」では、窓枠と窓ガラスは各住戸の専有部分に含まれないとされ、玄関扉は錠と内部の塗装部分だけが専有部分とされています。多くのマンションの管理規約もこれにならっているため、窓や玄関ドアの交換には管理組合の承認が必要になるのが一般的です。

マンションでは外壁を壊すはつり工法は現実的でないことが多く、カバー工法で進めるのが一般的です。同じガイドラインの長期修繕計画の例でも、住戸の玄関ドアの取替えは「スチール枠被せ」、窓サッシは「アルミ枠被せ」と、かぶせる方法が例に挙げられています(国土交通省「長期修繕計画作成ガイドライン」)。

補助金や減税を使うときも、工法の確認が大事

断熱性の高い窓への交換は、国の補助金や税の減額の対象になることがあります。たとえば国土交通省の省エネ改修の固定資産税の減額措置では、窓の断熱改修が必須工事とされ、その中に「サッシ及びガラスの交換」が含まれています。

ただし、補助金や減税には、製品の性能、工事の時期、申請の手順などの細かな条件があり、年度によっても変わります。工事の方法だけでなく、選ぶ製品によって対象になるかどうかが変わるため、契約の前に確認することが大切です。最新の情報は補助金のページと先進的窓リノベ2026のページにまとめています。

玄関ドアの場合の違い

玄関ドアでも考え方は同じです。カバー工法では、今のドア枠の上に新しい枠をかぶせ、新しいドアを取り付けます。はつり工法では、玄関まわりの外壁や床、室内の壁を壊してドア枠ごと取り外します。

玄関は家の出入り口なので、工事の間は防犯や出入りが気になります。カバー工法なら、壁を壊さずに進められるため、工事の日数を短くしやすいのが利点です。玄関ドアの製品やデザインはドアリモのページでご紹介しています。

カバー工法で古い窓枠を切断して撤去の準備をする職人

よくある質問

工事の間、家にいても大丈夫ですか?

カバー工法は壁を壊さないため、住みながら工事を進められます。ただし、工事をする窓のまわりには家具を動かすスペースが必要です。現地調査のときに、当日の準備についてご説明します。

雨戸やシャッターが付いている窓でもできますか?

雨戸やシャッター付きの窓に対応する製品もあります。LIXILは、リプラスについて雨戸やシャッターのある窓もリフォームできると案内しています。ただし、お家の窓の形によって使える製品が変わるため、現地で確かめてからのご提案になります。

どちらの工法が向いているか、自分で判断できますか?

窓の大きさや位置を変えたいかどうか、雨漏りのあとがあるかどうかが、大きな目安になります。それ以外は、枠のゆがみや傷み具合を見ないと判断できないことが多いため、現地調査で確かめるのが確実です。ほかの方からいただいたご質問はよくあるご質問にもまとめています。

まとめ|まずは「窓の大きさを変えたいか」から

窓や玄関ドアの交換方法は、今の枠を残してかぶせるカバー工法と、壁を壊して枠ごと取り替えるはつり工法の2つです。窓の大きさや位置は今のままでよく、住みながら短い期間で工事を終えたい場合はカバー工法、窓の大きさや位置を変えたい場合や壁の中まで直したい場合は、はつり工法が候補になります。

カバー工法には、窓が少し小さくなる、足元に段差が残ることがある、壁の中は直せない、という弱点もあります。そうした点も含めて、実際の施工のようすは施工写真集でご覧いただけます。お家の窓やドアにどちらが向いているか分からないときは、お問合せフォームからお気軽にご相談ください。

(参考)YKK AP「マドリモ 戸建用」公式ページ/LIXIL「リプラス」公式ページ/国土交通省「マンション標準管理規約」「長期修繕計画作成ガイドライン」/国土交通省「省エネ改修に係る固定資産税の減額措置」

文:マドアーズ!編集部